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る税務署間の差異発生が防止されているようである7)。
簡易裁判所での登録審査は、必要要件を充足すればルーティン的に処理される。社団としての登記が当該簡易裁判所にて行われた後、当該税務署での公益性認定が確定すると、当該社団は公益法人としての処遇を受けられる。社会福祉事業に当て嵌めてみると、上記の無償社会福祉は、この登記社団方式を用いて公益法人化している場合が多い、公益法人として認定されると、少なくとも2つの点で税法上の優遇措置を享受できる。まず、公益法人としての活動について、免税措置が講じられる(公課令第59条)8)。この場合、活動内容が会計上4つの範疇に弁別される。本来の公益活動、資産管理、税制優遇対象の経済活動、そして課税対象経済活動の4つである。本来の公益活動には、メンバー入会金・定期会費、行政からの補助金、及び寄付金が該当する。資産管理とは、利子等の資本資産からの収益と、所有施設の賃貸収入である(公課令第14条)。そして、優遇対象経済活動とは、定款に規定する公益木低の実現に直接貢献する、もしくは目的実現に不可欠なものである(公課令第65−68条)。これら3つの範壌の活動による収益は、課税対象とならない。これらの優遇措置で免除される税目は、法人税、事業所税、資産税、土地税、相続税、及び贈与税であり、付加価値税については、通常15%の税率が7%へと減免される9)、他方、これら以外の経済活動の場合、収益が年間6万マルク(1997年3月時点で約440万円)を上回る場合に、課税対象となる(公課令第64条)10)。課税対象となり得る活動としては、飲食事業、広告収益等である11)
この6万マルクという課税対象限度額制度は、1990年から導入されているもので、6万マルクの限度内であれば、全く課税されないが、限度額を超えた場合、超過分のみならず、収益全体が課税対象となる。換言すれば、公益法人は、課税対象経済活動を年収6万マルク以内に収める限り、非課税となるわけである。この会計処理は、勿論当該の公益法人によって毎年行われなければならないが、当該税務署は、活動の公益性保持審査と会計審査を、毎年所轄内の公益法人総数の3分の1ずつに対して行う事になっているため、当該公益法事からみれば、3年毎に税務署の審査を受ける事となる。なお、当然の事ながら、公益法人に勤務する個人の所得そのものは、当該個人に対する所得税の対象となる。
加えて、当該登記社団に対して行われる寄付行為には、公益活動への貢献として、寄付金に対する所得控除措置が採られる(所得税法10b条、所得税法施行令第48条)12)。当該公益法人は、各寄付行為に対して寄付証明書を発行し、当該寄付行為者は、団体であれ個人であれ、所得申告する際に証明して控除措置を受ける。このようにして、公益法人の活

 

 

 

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